My Cinema Talk World: 6月 2012

2012/06/25

すがすがしい!



今日から久しぶりにフルタイムのお仕事。
今まで在宅での仕事が多かったのでまだ身体か慣れない感じはする。
帰りはクタクタだけど、家につく頃には充実感に変わっている。
楽しいぜ♪
そして
2日のお休みが待ち遠しい…


さて、名刺も今度のお休みにプレゼンしてみよう。

それと、最近独学で再びスペイン語を学び始めた。
一昨日、スペイン語圏の知人に用事で電話した時、思い切ってスペイン語で電話したらなんとか通じたようだった…(-。-;フッ~
ただ、ところどころ危うくなると英語が混じったりもしたのだけれど^^;
スペイン語のrrの発音が難しいのだ。
今のところ、会話が先行しているが、文法も少しづつ勉強していくつもりだ。
スペイン語を会得できたら、アルゼンチンで使われるスペイン語、Castellanoもマスターしたいのだ。
南米の中部な北部に住む人でもアルゼンチン人の言葉は人気が高いようだ。

さて、明日も早起きしよっ。
As? que, buenas noches…


2012/06/22

「自分史」を書きたい人たち

20120622

日記をかなりサボっていた。
久しぶりに名刺のデザインを頼まれ、数日かけてロゴ作りから全体のデザインをフォトショップで何通りか作ってみた。
一日、4時間ほどMacの前でああでもない、こうでもない、フォントが相応しくない…だの試行錯誤し、ようやく一段落。
PCに二時間通して座りっぱなしだと変に肩に力が入る上、眼性疲労でかなり疲れる。
そして
近いうちに久しぶりにフルタイムの仕事が始まるので、こちらも慣れるまで大変だろう…しかも1日PCに座りっぱなしだ。
今まで、空いた時に気ままにヨガやピラティスしたり、DVDを見ていた自由時間が少なくなる。。。
とはいえ、土、日ではないにしろ週2日休めるので、十分かな^^
さて、ここ数日DVD何本かと本も1冊読み終えたので感動もupしよう。
DVDと云えば、先日ツィッターで「泣く映画を教えてください」と訊かれ、思いつくまま挙げてみたのだが、改めて数えてみるともっといっぱいあったような….しかももっともっと泣いた作品、自分の中ではとても重要な作品が抜け落ちてるような気がしてなんとも釈然としない。
映画の話題をしたフォロワーさんにも、泣く映画を訊いてみた。
とても通な方で、私がまだ見ていない作品がたくさんあった。
近いうち、レンタル店で探してみようと思った。

話は全く変わって、昨日おもに古い本が置いてある書棚の整理をしたのだが、その際思いがけず1冊の本を見つけた。
ずいぶん前、まだ20代の頃だ。
或る場所で知り合い、懇意にさせていだだいた当時70歳くらいの女性が自費出版された本だった。
調べてみると、AMAZONのサイトにも掲載されていた…
残念ながら在庫がないと記載されていたのだが。
その頃、私は妹と一緒に小説を書いたり他の方達が書いた作品を批評し合ったりするカルチャースクールに通っていた。
教室で気の合うメンバー5人だけで集うようになり、その中の一人が件の本の執筆者である。
カルチャースクールは、30人か40人弱はいたかもしれない。
ほとんどが55~60歳以上の仕事を引退された方…女性が多かったように記憶している。
完成した作品を講師に提出し、その中でも出来のよい作品を全員に配って自宅で読んできてもらい、次回の教室で感想を述べ合うのだ。
そのほとんどが、自分のこれまでの人生を振り返っての苦労話といった内容ばかりだった。
そのどれもが、別な作者が書いているとは思えなかった。
所謂「自分史」とも呼べるだろう。
そのレベル、内容から「小説」と呼べる作品とはほど遠いものだった。
ほとんどの人たちは、パーソナルな部分を共有し、共感してもらうことで安息しているように見えた。
いいかえれば、そのカルチャースクールはアナログなSNSみたいなものだろう。
自分がどれだけ「苦労してきたか、頑張っているか」を文章という高尚な付加価値をプラスし伝える、さらにはコメントをもらうことで喜びを得る事が出来たのだろう。
普段、近所の人たちとの”茶呑み話”では物足りない部分をこうした形で昇華していたのかもしれない。
尤も、その時代は「自分史」を書いて自費出版することが流行っていた時だった。
”私も、やがて「自分史」を出版したくなるのかな”
その頃、漠然と思い、もやもやを孕んだ不可思議な心境になった。

さて、前述した頂いた自費出版の本に話はもどるが、
著者のWさんの作品は、8話の短編から成る小説に仕上がっていた。
文章表現一つにしても洗練されていて、ストーリーもしっかり組み立てててあり、年代を感じさせないクールな作品だった。
小説と「自分史」の違いを敢て説明することはしないが、とにかく「自分史」を書きたい人ではなかったのだ。
当時、Wさんを含めカルチャークラブから離れて集まったメンバー5人は、小説と呼べる作品を書くことを目標にしていた。
Wさんは、自費出版で希望を叶えた。
40代の「青年のような」Sさんは、文芸誌「海○」新人賞に作品を応募、最終選考16作品まで残った。
妹は、県文学賞で準賞だったか佳作だったか、兎に角そのどちらかに選出された。
その直後受賞をきっかけに地方紙のコラム欄執筆の依頼を受け、半年ほど掲載される運びになった。
K町の主婦であり公務員のMさんと私は、真っ白いコピー用紙に印刷され丁寧にホッチキス止めされた、他のメンバーの作品を読んで感想を述べる役目にとどまったのだった。
古びた茶封筒に入った当時の作品やWさんの本を読みながら、予定外の膨大な時間を費やしつつ無事に本棚の整理は終わった。

あの頃のメンバーは、今はどうしているだろうか。

2012/06/15

ドラゴン・タトゥーの女

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寒々としたスウェーデンの風景…そして物語の幕開け...と思いきやツェッペリンの「移民の歌」(カバー曲である)が1本の独立したミュージックビデオとして流れる。のっけからかなりのインパクト!
次々と画面にあらわれるのはグリーンを帯びたモノクロ画像、無機質でメタリックなオブジェのよう。
さすが数々のミュージックビデオの秀作を生み出したデビッド・フィンチャー。細部にも作り込まれた拘りが感じられる。
そう、そんなワケですっかり冒頭で不意を突かれてしまったのだ。
本作品は、スティーグ・ラーソンの著書であるミレニアムシリーズ第一作「ドラゴン・タトゥーの女」の映画化である。
��2009年に本国スウェーデン版もすでに製作、公開されている。こちらもなかなかの出来ではある、ただミカエル役の俳優がどうもしっくりこないカンジだった)
長い原作をよくぞここまで凝縮できたと思う。デヴィッド・フィンチャーに拍手、パチパチパチ!しかしながら、まずは原作者スティーグ・ラーソンに賞賛の拍手をおくるべきかな。
ラーソンは約2年弱でミレニアム・シリーズを書き上げ、2004年出版社との契約にこぎ着けたところで心臓発作で他界している。無念である。彼が生きて書き続けていれば、ミレニアム以上の大作を読むことが出来たかもしれないのに。

dragon-tattoo1.jpg
私感ではあるが、この映画自体も全体を通してトリロジー(三部構成)として成り立っていると感じる。(原作本も「ミレニアムシリーズ」というトリロジーの中の第一部となる作品)
��つ目は物語のテーマであるスウェーデンで抱える問題をリスベットというラディカルな人物を通して提起している。一方ミカエル(ダニエル・クレイグ)とヴァンゲル一族が関わって行くプロローグ。
次にミカエルとリスベット(ルーニー・マーラ)が繋がり、事件を徐々に紐解いていく中心的な部分。
最後に事件が解決した後日談を軽快なテンポで流しつつリスベットを一人の女の子として描く部分、そして迎えるほろ苦いラスト。
ヒロイン(リズベット)へ1人の女の子としての好感が沸き、なんとも言えない愛おしささえ感じてしまった。
キャスティングのよさもさることながら、ミカエル役のダニエル・クレイグとリスベット役のルーニー・マーラーの熱演が特に素晴らしかったと思う。
映画を見る前まで、クリンとした目がかわいらしいルーニーにエキセントリックなヒロインが演じられるのかと不安混じりだったが、メイク技術や彼女の役作りと演技力で見事にあのリスベットに変身していた。
顔自体「ソーシャル・ネットワーク」のかわいらしい女の子とはまったくの別人だったのがすごいと思う。
dragon_tattoo2.png
原作は、第一作から三作目まで全作を通してスウェーデンでの「女性に対する不条理な偏見や暴力」というシビアな題材が扱われていて映画でも重要なファクターとして描かれている。
作者はジャーナリストで反人種差別主義者として活動していたこともあり、鋭い視点と日本の作家で言えば横溝正史の血族間の血なまぐさい歴史を交えつつ本作を完成させている。
実際、こういう問題(女性への暴力)がこの国において存在していたことを私は知らなかった。
DVDの特典映像ではこの映画に出演しているスウェーデン人であるマルティン役のステラン・スカルスガルドは「スウェーデンはそういった暗い国ではない」と否定的な意見を表明しているところも興味深かった。
主人公リスベットに対する暴力的なシーンは個人的に目を覆いたくなったのが本音だが、その後彼女が「目には目を」といった行動を取っているのはある意味救いがあったことだろう。(暴力は肯定してはならないが、幼い頃から暴力の被害者であった女の子が悲惨な状況のまま生き続けていくのには納得いかない。)
ただ、本で読むのと実際に映像で見るのとは数倍違っていることは確かだ。
裏を返せば、演出と演技力の素晴らしさの賜物だ。
小説は読む者に文章を通して「想像させる」というワンクッションがあるが、対して長い原作を限られた時間に凝縮させる映像作品は直接視覚に訴えなければならない使命がある。
「不快なシーン」「残酷な光景」を嫌悪しながらも、それを見られずにはいられない人間の本能、フェティシズムな一面は誰でも持っている。こういう人間の闇の部分が、「ドラゴン・タトゥーの女」でも浮き彫りにされている。
全編通して、やはり暗い...暗闇のシーンが多い。
そんな中でも、ブルーグレーの彩度を落としたスウェーデンの並木道や雪に覆われ、メタリックを帯びたような風景がなんとも美しい。フィンチャーという監督は暗闇に浮かぶアンバーを作品ごとに必ずと言っていいほど使って視覚的効果を煽ってくる。
「フィンチャー・アンバー」とでもいうべきか...この色が私は特に好きです。。。アンバーってオオカミの目の色なんですね。(直接関係はないけれど^^;)
あるサイトにデイヴィッド・フィンチャー作品ごとの色の効果を比較している面白い記事を発見しました。参考までにどうぞ。
Paint it Black?
A Look at David Fincher's Color Palette
�� http://www.fincherfanatic.com/paintitblack.pdf )

さらにマルティン・ヴァンゲル(ステラン・スカルスガルド)宅のドアがあく時のあの風が吹き込んでくるような音は、見るもののハラハラ感を煽るものとしてすばらしい効果をあげていたと思う。
TGWDT.jpg
スウェーデンの風景と共に、よく出て来たのがAppleのコンピュータだ。
原作でも「アルミボディのアップルPowerBookG4、1GHzモデル」などなど作者がMac愛用者であることを伺わせる記述があった。おそらくラーソンもMac使いだったのだろう…ジャーナリストになる前はグラフィック・デザイナーだったらしいし。
イギリスの貴公子で一世を風靡したあのジュリアン・サンズを久々に見られたのもちょっと嬉しかった^^
この映画鑑賞後、本国スウェーデン版の方も見てみました。先にも述べたようにミカエル役の俳優がしっくりこないのが少し残念なところ。
ストーリー
ミレニアム誌の記者ミカエルは闇の大物実業家の武器密売をスクープし、名誉毀損で訴えられ裁判で敗訴し全財産を失ってしまう。ミカエルに、別の大物実業家ヘ ンリック・ヴァンゲルから一族の謎を解明して欲しいとの依頼を受ける。見返りに名誉毀損裁判を逆転させるような証拠を渡すという。謎とは、ヘンリックが溺 愛していた少女ハリエット・ヴァンゲルが行方不明になった40年も前の事件であり、一族の誰かに殺されたという。
ミカエルはドラゴンの刺青をしたフリーの天才ハッカーであるリスベットとともに捜査を進め謎と事件を解決していき、さらに猟奇連続殺人に関わる一族の秘密を知ることになる。

キャスト
ヘンリック・ヴァンゲル     クリストファー・プラマー
マルティン・ヴァンゲル     ステラン・スカルスガルド
ディルク・フルーデ     スティーヴン・バーコフ
エリカ・ベルジェ     ロビン・ライト
ニルス・ビュルマン     ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン
アニタ・ヴァンゲル     ジョエリー・リチャードソン
セシリア・ヴァンゲル     ジェラルディン・ジェームズ
ドラガン・アルマンスキー     ゴラン・ヴィシュニック
グスタフ・モレル警部補     ドナルド・サムター
ハンス=エリック・ヴェンネルストレム     ウルフ・フリバーグ
ホルゲル・パルムグレン     ベント・C・W・カールソン     
プレイグ     トニー・ウェイ
ハラルド・ヴァンゲル     ペル・マイヤーバーグ
ペニラ・ブルムクヴィスト     ジョセフィン・スプランド
アンナ・ニーグレン     エヴァ・フリトヨフソン     
ハリエット・ヴァンゲル     モア・ガーペンダル
若年のヘンリック・ヴァンゲル     ジュリアン・サンズ     
ビルエル・ヴァンゲル     マーティン・ジャーヴィス     
イザベラ・ヴァンゲル     インガ・ランドグレー
スタッフ・作品情報
監督     デヴィッド・フィンチャー
脚本     スティーヴン・ザイリアン
原作     スティーグ・ラーソン
製作     ソロン・スターモス、オーレ・センドベリ、スコット・ルーディン、セアン・チャフィン
公開
2011年12月20日(アメリカ)
2011年12月21日(スウェーデン)
2012年2月10日(日本)
 
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2012/06/13

それぞれの空に



毎度のことながらロードムービーが見たくてこの作品をネットで見つけ出した次第であります。
少し前にDVDで鑑賞したのだが、最初某レンタルDVDチェーン店Tで探しまくって結局置いてないという始末…よくよく調べたところこの映画、日本未公開と判明したのだ。
そりゃ、レンタルに置いてないはずだ^^;

ストーリー
偶然知り合った3人のイラク帰還兵がたどるアメリカ横断の旅を、ティム・ロビンス、レイチェル・マクアダムスら実力派キャスト共演で描いたロードムー ビー。駐留地のイラクから一時帰国することになったチーバー、コリー、TKら3人のアメリカ人兵士。アメリカに到着したものの停電によって足止めされた3 人は、一緒にレンタカーを借りてそれぞれの目的地へ向かうことに。三者三様の悩みを抱えながら、旅を続けるが……。
映画.comより)

キャスト
レイチェル・マクアダムス
ティム・ロビンス
マイケル・ペーニャ

スタッフ
監督:ニール・バーガー
製作:ブライアン・コッペルマン、デビッド・レビーン、
リック・シュウォーツ、ニール・バーガー
原題:The Lucky Ones
製作年:2008年
製作国:アメリカ

この作品を見るにあたって1つ楽しみだったのが「きみに読む物語」の可愛らしくてキラキラ輝いていた、あのレイチェル・マクアダムスが出演しているということ。
軍人という普通の女の子と少々違う難しい役をどんな風に演じているか興味津々だった。
彼女は母親と疎遠で大学で学びたいという夢を持ちながらも一人の力ではままならず入隊の道を選び、戦地で脚を負傷して帰還するコーリーという女の子をいきいきと演じている。
2人目の主人公は「ショーシャンクの空に」や「ミスティック・リバー」で素晴らしい演技を見せたティム・ロビンス。
彼は、腰を負傷し薬を手放せない不安定な退役軍人チーヴァ役。
そしてマイケル・ペーニャは、戦地で負傷した(しかも大事な部位が機能しなくなってしまう…)「自分が軍人のエリートだ」と信じきっている少々自意識過剰なTKを演じている。
空港で出会った男女が1台の車に相乗りしながら、それぞれの目的地へと向かうまでのアメリカを横断する旅の物語だ。
戦地で役目を果たし無事帰還…喜ばしくも思えるが何らかのわだかまりを抱えている3人は長期間の軍隊生活で祖国の変化に馴染めないことを旅の途中で思い知らされる。
ひと昔前なら「祖国の為に戦って来た英雄」として扱われるはずである彼らだが9.11以降、中東での戦争やそれに伴う戦費からの財政難を経てアメリカ人の意識は大きく変化していた、時代は変わっていたのだ。
チーヴァは退役し、家族と共に新しい人生を始めるはずだったが皮肉な運命に迎えられ、我が家には戻らず再び2人と合流し旅を続けることになる。
ラストに近づくにつれ、祖国のみならず家族からも忘れ去られた存在となっている三人共通の祖国への違和感や孤独感がお互いを心配し思いやる気持ちに変化していく過程が面白い。
邦題と結びつくラストシーンは何とも爽やかですっきりしつつ….
とラストの顛末を語りそうになったところで止めておこう。
レイチェル・マクアダムスに話は戻って...
軍人という役どころなのでかなり役作りに徹したのか、ハンパないムキムキぶりに少々驚いた。彼女の可愛らしい表情には惹き付けられっぱなしだったけれど^^

戦争や軍人、そして現在のアメリカという社会的テーマではあるが終始一貫しているのは旅の流れ行く景色、車中でのやりとり、そしてシーンごとに流れる軽快なテンポの音楽が合まって重苦しい雰囲気を感じさせない仕上がりになっていること。
特典映像で監督のニール・バーガーは「サイドウェイ」のような雰囲気の映画を撮りたかったと語っていたが、その目論みはしっかり成し遂げられていたわけだ。






2012/06/05

英国王のスピーチ




かなり時期外れではあるが、「英国王のスピーチ」を観た。
よい映画であると期待していたのだが
予想を裏切らない素晴らしい作品だった。

主人公であるジョージ六世(コリン・ファース)がまだヨーク公と呼ばれていた時代。
父王の代理で博覧会の閉会スピーチを行う場面からこの映画は始まる。
張り詰める空気の中行われたスピーチは惨憺たるもので周囲の者をはじめ国民達は思わず下を向いてしまう。
冒頭シーンを見ただけで思わず涙が溢れそうになった。
言葉を発するまでの長い間(ま)、時折発せられる息が漏れるような小さな音。
話を聴く側は、気まずさにどこに視線を向ければいいのか困り始める。
下を向き始める人々。
話したい言葉がなかなか出てこない当人の傷みはどれだけのものだろう。
ヨーク公がオーストラリア人の言語聴覚士、ローグ(ジェフリー・ラッシュ)に吃音を克服する訓練を受けながら幼い頃の記憶を語るシーンを見てショックを受けるとともに納得できた。
世が世ならば虐待と受け取られる厳しい教育を受けて育ってきたのだ。
幼少期にあのような仕打ちをされたら…すっかり自分の幼児期と重ね合わせ、自分までも息が苦しくなった。
「英国王のスピーチ」というタイトルだが、この物語は弟王が英国の王位に就くまでの英国王室の歴史物語ではなく、一人の人間がオーストラリア人の聴覚士の力を借りて苦悩を乗り越えるまでの過程、また2人の繋がりを描いたドラマである。
ラストでのスピーチの緊張感は観ている私までも体が固まってしまうほどだった。
あのシーンの緊迫感、空気感の描き方は素晴らしかった。
聴く者、そしてマイクまでもが敵….ただ一人、目の前にいる男ローグだけがジョージ六世の味方だった。
この山場となるラストシーンは見事なまでに観る者に感動を与えている。
全体的にゆったりと静かに流れるような音楽を巧みに使いジョージ王とローグとの激しいまでの訓練の緊迫感と時折行われるユニークなレッスンを際立たせている。
それと、ローグ家のおもにレッスンを行う部屋(診察室?)の壁に注目せずにはいられなかった。
あの壁の前にそれぞれの役者が立つ事により1枚の絵画を観ているような印象を受けたのだ。(個人的感想ではあるが)
それぞれの役者の立ち位置の配置が絶妙なまでに完璧なのだ。
余談ではあるが、このスピーチが功を奏したのかその後のジョージ六世は国民から好評価を受けたらしい。

ご存知とは思うが、この映画の主人公ジョージ六世は現女王エリザベス二世の父親である。
作品の中に幼い頃のエリザベスとマーガレットも出てくる。




また、やられた



やられた…
驟雨だ。
夕餉の食材を買って外に出るとどっと降り繁吹いていた。
このところの莫迦げた天気は、一体何なのだ…
呪いたい気持ちがムクムクと胸からアタマへと浸透していった。
車に乗り込み、ワイパーをフル稼働させながらついつい舌打ちした。
“自分は暴慢であり心が狭い”
しばらくしたら急に客観の思考に移行していた。

すぐに雨は止み、道路からもくもくと湯気が立ち昇っていた。
その道端に、ズラッと花が咲き乱れていた。
なんとも惹かれる風景だ。
私は、恥ずかしいほど花の名前を知らない。
あまり興味がないだけだ…
ただひとつだけ
紫の花だけは菖蒲だと知っていた。
濃いピンクの小ぶりな花はなんだろう
とにかく、車を道路脇に止めて三枚写真を撮った。

虹が出そうな空だった。
少しだけ待ってみたが虹は現れなかった。

2012/06/04

神様のカルテ




櫻井翔演じる地方医院の内科医栗原が、研修に行った大学病院の医師から気に入られ先進医療に携わらないかと誘いをうける。
余命幾ばくもない患者(加賀まりこ)を担当していた栗原医師。
患者であるおばあちゃんの治療中に生まれた交流を通しての医療の現場と一人の患者が亡くなるまでの過程、そして妻との穏やかな生活、同居している仲間達とのエピソードも描かれている。
写真関係の仕事をしている妻との生活、空気感が現実味に欠けていて伝わってこない、むしろ作品全体の流れを澱ませている。
また、同居人である仲間との別れの部分ももっとぐっときてもいいはずなのに、その空気感が邪魔してイマイチ入り込めなかった。
主人公の医師が夏目漱石かぶれであることで妻や友人までもがその時代の人のような世界に入り込んでいるのか、ごっこ遊びをしているのか...とにかくドラマを構成する上でリアル感にかけておかしな空気を生んでいるのだと思う。
医療の現場では治療に携わりながらも報われなくて命を救えない場合もあり、これを繰り返し経験していれば一人の患者に特別な感情移入をする医者などは現実にはいないのかもしれないが、一人一人の登場人物がしっかりと作られていればたとえ現実にないことであっても、それを観る者にこういう医師もいるのだと納得させられたかもしれない。
主人公である医師と妻との日常生活での妙な空気感がなければ、泣かせる場面でもっと感情移入できたかもしれない。
要潤演じる友人である医師や医師の妻役の宮崎あおいも熱演ではあったが残念ながら作品全体からみて役割的にいてもいなくてもよいのではないかと感じた。
どの部分から観ても中途半端になってしまっている感があるので全体的に変な空気感、人物のリアル感のなさが目立ってしまっていると思う。
余談になるが劇中のセリフにやたらと「先進医療」が出てくるから桜井くん主演なのでアフラックが絡んでるのかと連想させられた。

さっきネットのニュースで知ったばかりなのだが、「謎解きはディナーのあとで」が映画化されるらしい。
どうせおかしな空気感をだすのなら、中途半端なヒューマンドラマよりここまで抜けてたほうが爽快だよw
このドラマで嫌いな部類の女優だった北川景子さんのファンになりました。