My Cinema Talk World: サイドウェイ

2012/05/17

サイドウェイ



ロードムービーが観たくて、何か良さげな作品はないかしら…とたどり着いたのが今回観た「サイドウェイ(原題 Sideways)」です。
DVDのパッケージを観ると監督がアレクサンダー・ペイン。
パリ・ジュテーム」の18話目「14区」の監督さんです。
「14区」では中年女性が一人旅でパリを訪れた時の心のうつろいを描いていました。

サイドウェイ出演の俳優は、バージニア・マドセンしか知らなくて本編を見ていると友達のジャック役に見覚えが…。(ちょっとシュワルツェネッガーもどきな顔立ち)
視聴後調べるとスパイダーマン3のサンドマン役の人でした。
(トーマス・ヘイデン・チャーチ:代表作「ジョン・カーター」「スパイダーマン3」「幸せへのキセキ」など)

ストーリーは、一週間後に結婚を控えたジャックと作家志望のバツイチ男マイルスがワイナリー巡りとゴルフ三昧の旅に出る話。
旅の始まりの土曜から翌週日曜(ジャックの結婚式の翌日)までを追っています。
道中は一緒でも目的はバラバラ…作家志望のマイルスはワインヲタクでワインを語る事は天下一品、ジャックはCM専門の二流俳優で考える事は結婚最後にできるだけ多くの女と寝ることばかり。
マイルスは離婚した妻に未練タラタラで彼女との思い出が拭い去れず、凹んで安定剤に頼ってしまう状態。

途中、マイルスの行きつけであるワイン専門の店に立寄り出会った東洋人のステファニーとジャックが意気投合し深い関係に…
同じ店で働くステファニーの友人マヤも交えて4人でワイワイ楽しむ。
ジャックとステファニーはすっかり恋人同士気分になっているものの、ジャックが結婚を控えている事は内緒にしている。
一方マヤはマイルスに特別な想いを寄せているが今一歩踏み出せないマイルス。
マイルスは彼の作品がもしかしたら出版されるかもしれないと期待していたが、旅の途中でその話も消えてなくなってしまう。
結局、ジャックが結婚する事もバレてしまいさんざんなことになるが翌土曜日予定通り結婚式も無事終わる。
式場で会った元妻に新しい夫を紹介されたり、彼女の妊娠を知ったりでマイルスの孤独感は尚更つのる。

軽いのりでコメディタッチなストーリー。
しかしながら、ところどころにステキなセリフがちりばめられていて思わず自分の半生を投影してしまいしんみりさせられました。

「ワインに興味を持ち始めたのは前のダンナと結婚してから….学ぶに従いワインの一生というものを考えるようになった….飲み頃を越えてゆっくり下り坂に入るのも(ワインの)魅力だ」

バージニア・マドセン演じるマヤがマイルスと小説やワインを語っているシーンで、ワインを人の一生に例えたセリフです。
彼女は若い頃から美しくて好きな女優さんだけれど、年齢を経てシワが刻まれた横顔についつい惹き込まれてしまいました。それこそ熟成されたワインと同じですね。
また、マイルスがピノ・ノワール(ぶどうの種類)に一途なまでにこだわる理由を語るシーンとそのセリフ(”地球の太古の味”と表現していた)が沁みます。

そして、男同士の友情が女性と比べて「濃い」というか「重みがある」ことにちょっぴり驚いています。
作品にちなんでワインに例えれば、フルボディといったところでしょうか。
現実に全ての友情がマイルスとジャックのようではないのでしょうけど、とにかく肝心な部分で深いのです。
助けるべきところでは、見捨てないでしっかり面倒をみてあげるのですよね。
たとえ自分がさんざんな目に付き合わされ、しかも人に構っているどころの余裕がなくても...です。

人生について考えた後、エンディングでスッキリした気持ちになれるすばらしい作品でした。