My Cinema Talk World: 『スウィート・ヒアアフター』 ー なにやら謎めいた人々。デヴィッド・リンチっぽさが漂う

2014/05/29

『スウィート・ヒアアフター』 ー なにやら謎めいた人々。デヴィッド・リンチっぽさが漂う



90年代の映画だなぁーって雰囲気が漂っています。当然です、90年代の映画ですから…。
私、この時代の映画がほんと大好きです。その割に当ブログはまだ90年代の映画の感想が少ないんですけどね。
まず、色合いがいいですよね。映画はその時代のカラーがあります。技術的なものか...活躍した監督さんの作品が時代の色になっているのかな。
色合いと簡単に言ったけど、説明するのはとても難しい。
そして90年代の映画といえば娯楽大作があまりなかったし、そのかわりミニシアター系っぽい作品のほうが注目されていました。
ちょうどジム・ジャームッシュやコーエン兄弟、スパイク・リー、ガス・ヴァン・サントそしてタランティーノなどなど…が知られるようになった頃ですね。
今はミニシアター系の作品はDVDが出るまで待つしかないけど、その時代ってわざわざ東京まで見に行ってましたよ、私。
この監督アトム・エゴヤンさん、日本ではそれほど知られていません。作品自体もDVD化されていなかったりするから余計かな。
幸い「スウィート ヒアアフター」はDVDになっていますから、是非みてほしいです。せめて「エキゾチカ(1994)」もDVD化してもらいたいなと願う今日この頃です。

ストーリー
カナダの小さな田舎町で、子供達を乗せたスクールバスが転落し、多数の子供が死亡するという事故が起こった。街にやってきた弁護士のミッチェルは犠牲者の親達を説得し、教育当局に対して集団訴訟を起こす準備を進めていた。しかし、唯一の生存者であり、事故の後遺症で車椅子生活を強いられている15歳のニコールの証言で、事態は思わぬ方向に進んでゆく。
Wikiより)




キャスト
    イアン・ホルム:ミッチェル、弁護士
    サラ・ポーリー:ニコール
    トム・マッカムス:サム、ニコールの父親
    ガブリエレ・ローズ:ドロレス、バスの運転手
    アルバータ・ワトソン:リサ
    ブルース・グリーンウッド:ビリー
    アルシネ・カーンジャン:ワンダ

スタッフ・作品情報
監督 アトム・エゴヤン
脚本 アトム・エゴヤン
原作 ラッセル・バンクス『この世を離れて』
製作 アトム・エゴヤン、カメーラ・フリーバーグ
製作総指揮     ロバート・ラントス、アンドラス・ハモリ
音楽     マイケル・ダンナ
撮影      ポール・サロッシー
編集      スーザン・シプトン
製作会社      エゴ・フィルム・アーツ
配給  KUZUIエンタープライズ(日本)
公開 1997年10月10日(カナダ)、1998年8月25日(日本)
製作国  カナダ(1997)
興行収入     $3,263,585
原題       The Sweet Hereafter


本作の中でおもだった人が何人かでてきて、それぞれのエピソードが描かれています。
舞台となる小さな町でバスの転落死亡事故が起き、それをきっかけに少しずつ町がざわめきだちます。部外者である弁護士ミッチェル(イアン・ホルム)が訴訟を起こそうと親達を説得に回り始めたからです。
まずはバスの運転手だった女性、ドロレス。町の子供達が大好きで仕事にも誇りをもっている、そんなエピソードを弁護士に語ってきかせますが美化しすぎ誇大表現めいている。
第一、彼女にとって事故のことはその時点ではなるべく思い出したくないはずなのに弁護士に熱弁する彼女の家の壁一面に亡くなった子供達に写真が飾られています…自分の子供でもないのに。



バスに乗っていた兄妹の父親であるビリー。数年前に妻をガンで亡くしたビリーは、夫とともに小さなホテルを営む女と愛人関係にあります。この夫妻も障害を持つ男の子をバス事故で亡くしました。ビリーは子供達を見送るため、いつもスクールバスの後ろに付いて車を走らせることが日課。事故当日もバスの後ろを走り、事故の光景を目撃してしまいます。
そして、物語の中心ともいえるニコール(サラ・ポーリー)です。彼女は歌い、曲を作ることが好きな優しくてちょっとシャイな雰囲気の女の子。イケメンの父親とやけに仲がいいなぁと思っていたら親子の関係を越えた愛で結ばれていたのです。見つめ合う2人の絡み合うような視線がそれを表わしています。
それぞれの人たちがどにかく謎めいています。
弁護士のミッチェルも娘がヤク中で、しょっちゅうお金をせびる電話をかけてくる。娘が不良化する原因となったのは父親であるミッチェル自身に何かあったらしい。こちらもぼんやりとそれが見えるだけではっきりそうだとは描かれていません。



出てくる人々は謎めいているし、それを強調するような暗い闇のシーンが多いです。
ミッチェルは、出来の悪い娘に振り回される苦労人といった体(てい)で最初とても良い人に見えるのですが、実は田舎の素朴な人たちを利用してお金儲けの営業をする饒舌なくせ者なのです。
この物語の不可解な不気味さを強調するために「ハーメルンの笛吹き男」が効果的に使われています。
もちろん笛吹き男がミッチェルでしょう。笛吹き男に付いて行かなかった脚の悪い子供がニコールです。
最後は「え?」と驚かされて、少し納得した後「えー?!」ってカンジで終わります。そして何事もなかったかのように町に静かな日々が戻ってきます。
ストーリーも謎めいているところに、ところどころにヒントのようにぼやけさせたシーンが盛り込まれ見る側に自分なりのストーリーを想像させるように作られています。

完璧にキッチリつくりこまれた映画よりも、「見る人に想像させる」作品。
私個人的にこういうの大好きです。
小説のような行間で読む側に想像させるような効果が取り入れられた手法、その人なりの感性で観る映画。デヴィッド・リンチもそんなカンジですね、ヒントのような謎めいたシーンを提示し見る側に想像させています。
監督業でも活躍しているサラ・ポーリー。
美しいし、演技も光っています。その上、独特の透き通るような声で歌も聴かせてくれています。






監督タグ:アトム・エゴヤン

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