My Cinema Talk World: レス・ザン・ゼロ(Less than Zero)

2013/11/24

レス・ザン・ゼロ(Less than Zero)




ストーリー
高校時代幼なじみで仲良し3人グループだったクレイ(アンドリュー・マッカーシー)、ジュリアン(ロバート・ダウニー・Jr)、ブレア(ジェイミー・ガーツ)。卒業後クレイだけL.A.から離れ大学に入学。休日にL.A.に戻ったクレイは、ジュリアンの堕落しきっている生活に驚く。ドラッグと酒に溺れて多大の借金を抱え、親にも見放されていた。クレイはブレアとかつて恋仲だったが、今はジュリアンと一緒だった。ブレアだけがジュリアンの味方だったが、彼女もドラッグに染まっていた。やがてブレアとヨリを戻しながら、目の前で次第にぼろぼろになっていくジュリアンのありさまを見ていられなくなり金を貸したリップ(ジェームズ・スペイダー)へ借金の肩代わりを申し出るクレイ……。

キャスト
アンドリュー・マッカーシー(クレイ)
ジェイミー・ガーツ(ブレア)
ロバート・ダウニー・Jr(ジュリアン)
ジェームズ・スペイダー(リップ)

スタッフ・作品情報
監督:     マレク・カニエフスカ  
製作:     ジョン・アヴネット、ジョーダン・カーナー  
原作:     ブレット・イーストン・エリス  
脚本:     ハーリー・ペイトン  
撮影:     エドワード・ラックマン
初公開年月:     1987年11月(アメリカ公開)

続きを読む以降にネタバレあります。
未見の方はご注意下さい...





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卒業の日、楽しかったあのころ

【80年代を象徴する若者の姿】
「レス・ザン・ゼロ」の原作者は、「ルールズ・オブ・アトラクション」や「アメリカン・サイコ」の作者でもあるブレット・イーストン・エリスです。
彼の描く世界のたいがいは
リッチな若者のセックス&ドラッグ→堕落
といった構図が多くて、よくジェイ・マキナニーと比較されます。
私は、エリスもマキナニーどちらも好きです。
こういう退廃的な魅力を含んだ作品にはかなり魅力を感じます、80'sの醸し出すカオスワールドにも。
だから、駄作だといわれて興行的にも振るわなかったマキナニーの「ブライトライツ、ビッグシティ」も何度も繰り返し観たい映画ベスト10作品に入っています。
エリスの作品は、マキナニーに比べて限りなく「死」に近づいた頽廃だと思います。
「アメリカン・サイコ」もえげつなさこの上ない作品だし、「アメリカン・サイコ」の主役パトリック・ベイトマン(映画ではクリスチャン・ベールが演じています)の兄ショーンがもう1つの作品「ルールズ・オブ・アトラクション」に登場しているという繋がりも面白いですね。
「ルールズ・オブ・アトラクション」は2002年にロジャー・エイヴァリーが映画化しています。
内容はやはりセックス&ドラッグです。
ちなみに「レス・ザン・ゼロ」にブラッド・ピットがエキストラで参加していたんですってね...これトリビアだわ~、さすがに気づかないわwww
金髪で黒いグラサン姿でクラブ・シーンに出てますので、見る予定のある方是非探してみてね!

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狂い出したジュリアンの人生

【切なすぎる「レス・ザン・ゼロ」の意味】
今の姿とはまったく別人のロバート・ダウニーJr.が出てきます。見るからに長生きできそうにないな、まともな死に方できないよなーって感じの人物を好演してます。
好演という表現では足りないな...熱演?とにかくリアルなダメ人間を演じてます。
ダウニーJr.の私生活と重なる部分があります。
(ダウニーJr.がダメ人間と言っているわけではないんだけれど)
こういう人間(ダウニーJr.本人のことではないです!!)に限ってプライドが高い。。。
というか、金持ちだから失敗を経験したことがない、だから人に頼ったり弱みを晒したりすることが苦手なんですね。
それでも、仲良しの2人は彼が「大丈夫!」って言ってもそうじゃないことをちゃんと分かってくれて見捨てないで助けあいます。

主役はクレイ(マッカシー)なのだけれど、すっかり脇役ロバート・ダウニー・Jrに喰われてしまっている感は否めません。
アンドリュー・マッカシーもジェイミー・ガーツも今現在は(ジェームズ・スペイダーもそうかな)映画の仕事をしていないにもかかわらず、未だにダウニーJr.が映画界に君臨しているという理由がよくわかります。
アンドリュー・マッカーシーもなかなか美形なんですが、ダウニーJr.は童顔のおめめパッチリがそれはそれはかわいらしいんですよー、ほんと。彼の下睫毛が好きなんですよね、私。
この時代がすべてにおいてどれほど麻痺していたか。
クラブでバカ騒ぎシーンやジュリアン、ブレア、クレイの自宅の様子からよく伝わってきます。(ビバリーヒルズです)
夜ごと湯水のようにお金が飛んで行く...踊り狂い、クスリにおぼれる若者たちをクラブシーンに詰め込んで伝えているのは分かるけれど、少々クドすぎる感はありました。
全体のテンポを考えれば、クラブシーンはもすこし削ってもよかったな。
少しだけお腹いっぱいになりました。

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なぜキミはそんな生き方しかできないんだ!!

鼻血出すほどドラッグやってでも楽しんで踊れ!人生は一度だ、パーレーっ(party)!!
って気持ちは理解できる。
自分も酒飲んでは記憶なくして、また次の日二日酔いだけど飲んで...なんてやってたし。
(さすがに舞台は日本なので、ドラッグはなしね!)

それにしても肝心の目的を見失い、何も成し遂げることなくそこで命を落としたらあまりにもバカだ。
彼らはほんとおバカなんだけれど、同じ失敗を繰り返し親にも見捨てられて夜眠るベッドすらなくなってしまうそんな生き方しかできないジュリアン ——
愚かなさが切なすぎて愛おしくて自然に泣けてくる、すっかり彼に感情移入してしまう自分がいる。
人間は同じ過ちを何度も繰り返して成長するものだから....
借金が借金をよんで身動きが取れなくなったジュリアンがクレイに金を貸してくれと必死で頼む。
「手元に持っている金はゼロだ」と答えるジュリアン。
夜のプールでのシーンはラストに繋がる意味で、琴線に触れるところだ。
持金ゼロよりももっと悲惨な状況とは…ゼロより限りなく”無”に近い状態になる、「死」だ。
安っぽく見えるぺらぺらの高級ブランドのドレスやスーツを着て、酒やドラッグに溺れる表向きだけのうすっぺらな関係でつながる若者たちを描きつつ、その裏側には実は重いテーマを包含している。
Less than Zero
タイトルをつけた作家ブレット・イーストン・エリスはやっぱりすごい!!
(もともとはエルビス・コステロのアルバム「My Aim is True」に収録の政治的な曲なのタイトルなのです。)