My Cinema Talk World: 「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ」ー 行間を愉しみ愛でる映画

2014/06/25

「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ」ー 行間を愉しみ愛でる映画


不死をこじらせるとアダムみたいになっちゃうんだろうな


劇場に出向けなかったのです...とても待ち遠しかったです。
やはり期待通りの作品でした。

ストーリー
吸血鬼のアダム(トム・ヒドルストン)はギターをはじめ弦楽器なら何でも自在に弾きこなすミュージシャンとしてアンダーグラウンド・ミュージック・シーンで活躍している。しかしここ近年の自己破滅的な人間たちの振る舞いにアダムは抑鬱を抱えていた。そんなとき恋人イヴ(ティルダ・スウィントン)がデトロイトに住む彼の元を訪れる。もちろん、彼女も吸血鬼で2人は何世紀も愛し合い、生き続けてきた。久々の再会もつかの間、イヴの破天荒な妹エヴァ(ミア・ワシコウスカ)が突然2人に会いにやってきて3人の運命は、ゆっくりと変わり始める・・・。
(公式サイト より)

キャスト
    トム・ヒドルストン - アダム
    ティルダ・スウィントン - イヴ
    ミア・ワシコウスカ - エヴァ
    ジョン・ハート - マーロー
    アントン・イェルチン - イアン
    ジェフリー・ライト

スタッフ・映画情報
監督 ジム・ジャームッシュ
脚本 ジム・ジャームッシュ
製作     ジェレミー・トーマス、ラインハルト・ブルンディヒ
製作総指揮     ステイシー・E・スミス、クリストス・V・コンスタンタコプーロス
音楽         ジョゼフ・ヴァン・ヴィセム
撮影        ヨリック・ル・ソー
編集        アフォンソ・ゴンサルヴェス
製作会社        レコーデッド・ピクチャー・カンパニー、パンドラ・フィルム・プロダクション
配給        ロングライド(日本)
公開      2013年5月25日(CIFF)(フランス) 2013年12月20日(日本)
製作国     アメリカ合衆国
原題          Only Lovers Left Alive
公式サイト          http://onlylovers.jp/



ありがちな表現を使えばアレです「ジム・ジャームッシュ節炸裂っ!」って感じですかね。夜のネオンライトとデトロイトの街を歩く恋人たち。なぜか彼らは最初はタンジールとデトロイトに離ればなれに暮らしている。今までのジャームッシュ作品と違っているのは彼らが永遠の命を与えられた吸血鬼なのである。
キャスティングも面白いですね、恋人たちを演じるのはジャームッシュ作品の常連ティルダ・スウィントンと「マイティ・ソー」のロキでおなじみのトム・ヒドルストン...親子ほども年が違うではありませんか?! でも、何の違和感も感じさせないのは吸血鬼という特別な生き物だから?それだけではないでしょう、この恋人たちのキャラクターが長い時間をかけてじっくり創り込まれているからに違いありません。



恋人であって、一つの運命共同体である彼らの結びつき方は人間界で使われる「恋人」という俗な言葉で表現するにはあまりに安易に思えてしまう。
イヴは何千年という時をこの地球で生きてきて旧い時代から現代にいたるすべてのものをありのままに感じ、愛することができる神のような女性。もちろんアダムのことも全てを受け止め大きな愛で包み込む存在。
一方、アダムのキャラクターがまたおもしろい。
美を追求し続けながらもイヴとはまるで真反対、ペシミストなのである。私は夏目漱石の小説の中の主人公をイメージしながら観ました。
家に籠りっきりで余計なことばかり考えつづけて泣き言っぽいことばかり言い続けている、一体何が不満でウジウジ悩んでいるの?そもそも何で生計をたてているの?的な。
まぁ、アダムはミュージシャンであり音楽で生計をたててはいるんですけどね。
古き良き時代をその時代の「モノ」を愛でて懐古している。現代の人間を「俗物ども」と毛嫌いして彼らの血は一切口にせず闇ルートから特殊な血を手に入れて飲んでいます。
汚れた血を飲まないのはイヴも同じ ――
彼らは狩りをせず、上質な血をワイングラスで飲むのですよ、なんと高貴なヴァンパイアなんでしょ!
永遠の命を持つ彼らの時間はゆっくりと流れていきます。
そんな中、長年タンジールに潜んでいたイヴがデトロイトのアダムを訊ねていく ―― そこに問題児であるイヴの妹エヴァが突如現れて騒動を巻き起こす。
エヴァこそ、今まで多くの映画で描かれて来たヴァンパイア像に近いものがある。



アダムを何世紀にも渡り大きな愛で包み込んでいるイヴ、この2人のあり方がこのうえなくステキなのである。旧い時代の美しい楽器などを愛でることを愉しみながらもiPhoneを使って会話しているのが思わずクスッと笑ってしまう。
不老不死であるはずのヴァンパイアではあるが人間が自然を破壊しそれが原因で血液の劣化を招く...そうなると彼らのような吸血鬼たちも死活問題にいたる、死ぬはずのない彼らにも絶滅の危機。
なんともユーモラスであり物悲しい。
さすがジャームッシュ、ありきたりなヴァンパイアもので終わらないのが彼の妙技。
映像だけでなく音楽も完璧、気に入ってヘビロテで聴いています。
特にWanda Jacksonの「funnel of love」とYasmine Hamdanの「Hal」がよろしわぁー。
ラストがまた痛快...こうでなくちゃねって思わず微笑んでしまいました。
一言で言うなら読書をする時の行間を愉しむような作品です。
トム・ヒドルストンが日常の「エッヘへ」と笑う彼とギャップがありすぎてこれまたいいんですねー♪
ジム・ジャームッシュ作品の中で一番美しく哀しくユーモアに溢れた傑作です。
「Only Lovers Left Alive」なんて素敵でロマンチックなタイトルなんでしょ。






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