My Cinema Talk World: 『とらわれて夏』 ー 忘れられないあの夏の5日間の物語 ー

2014/09/12

『とらわれて夏』 ー 忘れられないあの夏の5日間の物語 ー



劇場公開された時、見たかったけれど近くの劇場ではかなり遅れての公開だったのであきらめてしまった作品です。
あきらめて見なかったというか、ネット上の感想や評価がイマイチで「凡庸」とか「ストーリーに面白みがない」などなど...ことごとく低評価が目立っていました。
なので自分もだんだん熱が冷めてしまったというのが本当のところです。

ストーリー
アメリカ東部の静かな町。9月はじめのレイバー・デイを週末にひかえたある日、心に傷を負ったシングルマザーのアデルと13歳の息子ヘンリーは、偶然出会った逃亡犯のフランクに強要され、彼を自宅に匿うことになる。決して危害は加えないと約束したフランクは、家や車を修理し、料理をふるまい、ヘンリーに野球を教える。やがてヘンリーはフランクを父のように慕い、アデルとフランクも互いに惹かれ合っていく。
ともに過した時間の中で、ついに3人は人生を変える決断を下す――。
公式サイト より)

キャスト
アデル・ウィーラー - ケイト・ウィンスレット
フランク・チェンバース - ジョシュ・ブローリン
ヘンリー・ウィーラー - ガトリン・グリフィス
成人後のヘンリー・ウィーラー / ナレーター - トビー・マグワイア
青年期のフランク・チェンバース - トム・リピンスキー
マンディ - マイカ・モンロー
ジェラルド - クラーク・グレッグ
トレッドウェル巡査 - ジェームズ・ヴァン・ダー・ビーク
ジャーヴィス氏 - J・K・シモンズ
イヴリン - ブルック・スミス
エレノア - ブリード・フレミング
マージョリー - アレクシー・ギルモア

スタッフ・作品情報
監督・脚本:     ジェイソン・ライトマン
原作:     ジョイス・メイナード『レイバーデイ』
製作 :    リアンヌ・ハルフォン、ラッセル・スミス
      ジェイソン・ライトマン、ヘレン・エスタブルック
音楽:     ロルフ・ケント
撮影:     エリック・スティールバーグ
製作会社:     インディアン・ペイントブラッシュ
配給:     パラマウント映画
公開:     2013年8月29日(アメリカ合衆国 TFF)
2013年12月25日(アメリカ合衆国 )
2014年5月1日(日本 )
原題:     Labor Day



感想は…
とにかくよかった!ラストは涙、涙、涙!!
なんだよぉー、すごぉーくよい映画ぢゃん!!
ストーリーが云々って簡単な言葉で片付けられないわけですよ、この作品。何より残念なのが「とらわれて夏」っていう邦題が映画を貶めてるところだけ。

13歳のヘンリー(ガトリン・グリフィス)が主人公なのかといえばそうではなく、彼の目が母親アデル(ケイト・ウィンスレット)、フランク(ジョシュ・ブローリン)、そして1987年 レイバー・デイを前にした週末の暑い夏の光や景色を捉えるカメラの役目を担っています。
ショッピングセンターで出会った脱獄囚フランクを家に連れてきたものの、彼が殺人犯だということをしった時の衝撃。ヘンリーはまだ13歳。彼は母親をとても愛していて心に傷を負った彼女を守るのは自分の役目だと思っています。
しかしながら息子がどんなに努力しても満たすことができないものがあります。母の中にあるもの、表向きは必至に冷静さを装っても抗えないなにか...渇き、内なる女性としての欲求。



フランクはアデルが通報したりしないよう椅子に縛り付けておいたりもします。
怯える母子。ところがフランクは慣れた手さばきで料理し、縛られているアデルの口にスプーンを運び食べさせる。しかも彼女をいたわるかのようにふぅふぅしながら――。
エロティシズムがただよっているんです、このシーン。2人のこの様子に何かただならぬ空気を感じ取るヘンリー。
フランクが来てから母親の中の何かがはじけた...それを見逃さなかった息子、そしてじっと観察し続けるのです。
じっとりと汗ばんだアデルの肌、彼女のドレスも露出の多いものになっていきます。
母親になにやら今までとは違う艶かしいものを感じ取り、そんなお年頃でもあるしですっかり悶々として寝付けない。ヘンリーの頭の中ではすっかりアデルとフランクが絡み合うシーンでいっぱいになっちゃいます。
一方、ヘンリーはフランクと野球をしたり車のメンテナンスを教わったり父親と息子のようになっていきます。



アデルとフランク...どちらも記憶の奥底に沈めておきたいほどに辛い過去を背負っているからいつしかお互いにそれを感じ合って長い間忘れていた小さな幸せを取り戻し、3人で新しい人生をふみだそうとします。
そんな2人を観察しながら少年は「自分だけ置いて行かれてしまうのではないか、仲間はずれにされるのではないか」という危惧を抱き始める。
レイバー・デイを控えた週末の数日間を通して悲しみから再生していく男女とそれを見つめながら大人へと成長していく少年の物語です ―― 「JUNO」と共通するのは、大人たちと不安定な思春期の少年(少女)が軸であること。
忘れられない夏の終りの記憶が逆光のフレアと作品のイメージカラーである緑色でみずみずしく繊細に描かれています。まるで自分の中の「あの時」も蘇るように。
フランクに手ほどきを受けながら3人で楽しく作った桃のパイもラストへの伏線になっています。
美しい夏の思い出と息が止まるほどの緊迫感にすっかりとらわれて...いや、入りこんでしまいました。
ケイト・ウィンスレッドの演技が彼女の肉感的な体格に増して堂々とした余裕すら感じます。メリル・ストリープの座を脅かすのは間違いなく彼女でしょうね。
余談...
ジェイソン・ライトマン監督作品には欠かせないJ・K・シモンズがやっぱり出てたのと、「羊たちの沈黙」で誘拐される女性議員の娘役の女優が近所のおばさん役で出ていたのがちょっとした衝撃でした。
成人したヘンリー(ナレーション)を演じるのはトビー・マグワイアです。






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