My Cinema Talk World: 「アメリカン・スナイパー」 − その罰は記憶と心に下された

2015/03/22

「アメリカン・スナイパー」 − その罰は記憶と心に下された



劇場公開から遅れること約1ヶ月。
ようやく「アメリカン・スナイパー」を観てきました。
少しためらったのも、戦場での殺戮シーンを見るのが怖かったから…戦場で人がバンバン殺されるシーンを劇場のスクリーンで見た時の自分の精神的ダメージが心配でした。音も大きいしね….
最近頓(とみ)に残虐シーンに耐えられなくなってきている。自分に急激に衰えがやってきたことを実感させられます。

アメリカン・スナイパー(原題:American Sniper)

監督:クリント・イーストウッド / 製作年:2015年



キャスト
クリス・カイル - ブラッドリー・クーパー
タヤ・カイル - シエナ・ミラー
コルトン・カイル - マックス・チャールズ
マーク・リー - ルーク・グライムス
ゴート=ウィンストン - カイル・ガルナー
マーテンス提督 - サム・ジェーガー
ライアン・“ビグルス”・ジョブ - ジェイク・マクドーマン
“D”/ダンドリッジ - コリー・ハードリクト
アル=オボーディ師 - ナヴィド・ネガーバン
スニードDIA捜査官 - エリック・クローズ
スクワール - エリック・ラディーン

スタッフ
監督:     クリント・イーストウッド
脚本:     ジェイソン・ホール
原作:     クリス・カイル『ネイビー・シールズ最強の狙撃手』(原書房)
製作:     クリント・イーストウッド、ロバート・ロレンツ
              ピーター・モーガン、アンドリュー・ラザール、ブラッドリー・クーパー
撮影:     トム・スターン
編集:     ジョエル・コックス、ゲイリー・D・ローチ
公開:      2015年1月16日(アメリカ合衆国)
日本公開: 2015年2月21日
原題:     American Sniper


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クリス・カイルの父親は彼に
「人間は3種類いる。羊、狼、そして牧羊犬だ、おまえは牧羊犬になれ!」
「やられたら、やり返せ!弱虫になるな」
と口酸っぱくいいきかせながら育てます。
息子は親のしつけ通りに育っていきます。
テレビで9.11の映像を見ながら、自分がこの国を守らなければならないという正義感を抱き、怒りに身が震えんばかりのクリス。
彼はやがて海軍特殊部隊ネイビーシールズに入隊し厳しい訓練にも耐え続け、愛する女性と出会い結婚して間もなく、スナイパーとしてイラク戦争に出征する。
「お前の判断に委ねる」という命令でスナイパーとしての役目を果たし、最初のうちは罪の意識があったものの、殺戮が当然の戦場で次第に慣れていき戦場で英雄になっていく。
殺戮が日常になってそれに慣れていく恐ろしさが否が応でも伝わってきます。
戦場の音は生々しくて我慢できず耳を塞いでしまいました。
戦場シーンと帰国して家族と過ごす時間が交互に描かれ、戦場の異常さが鮮烈に伝わってくる手法はさすがと感じました。
帰国し、普通の生活に戻ると戦争での光景や音が頭に蘇り、家族がそばにいるのに心は上の空の状態。
戦場で活躍してもてはやされても神経衰弱状態でいなければならない生き地獄のような日々。
人を殺して平常に生きていられる人なんていないんですよね。
何度も戦地に行った彼が信じられなかったけど、とうとう4度目には「早く帰りたい!」ってなってホッとしました。

さまざまな想いが頭を駆け巡り、エンドロールの無音状態はとても不思議な作用をもたらしました。
ズーン………
そして涙が止まらなくて、自分のこの反応がどこからくるのか不覚にも理解できませんでした。
国利や宗教のために人と人が殺し合うことがどれほど愚かなことか。
「馬鹿げた殺し合いはもうやめにしませんか?」
って言いたくなりました。
戦場での英雄を描いていますが、戦争を賛美しているワケではない、むしろ逆。
戦争に出向いた人間は、帰国し日常に戻れば過去に自分が殺人をしてきたこと、その残像に藻掻き苦しむようになります。そんな苦しみを国家は救ってはくれないでしょう。
繰り返しになるけれど、戦争での殺戮にしても事件で人を殺めることも、人が人を殺すことは地獄です。
「国を守るため」という名目など通用しません。
今、この時代だからこそ見るべき映画だと思います。