My Cinema Talk World: 「サマー・オブ・サム」

2015/06/20

「サマー・オブ・サム」



今、日本では「サムの息子の制定を!」と騒がれています。先週、たまたまある番組でデーブ・スペクターがコメントしたことが発端でしょう。
この作品は、その「サムの息子」の映画です。
が…「サムの息子」について事件そのものをよく知りたいという目的ならば、本作は見ないほうがいいかもしれません。
1977年の記録的猛暑に見舞われた夏、ニューヨークで起きた連続殺人事件が軸にはなっていますが、事件よりもその周囲をめぐる人々を中心に描いています。見ているうちにニューヨークの大都会を俯瞰している感覚に陥ります。
中心人物は、美容師 ヴィニー(ジョン・レグイザモ)とその美しい妻ディオーナ(ミラ・ソルヴィーノ)、ロンドンから返って来たばかりのヴィニーの親友リッチー(エイドリアン・ブロディ)。






デヴィッド・フィンチャーの『ゾディアック』も連続殺人鬼がサンフランシスコ中を恐怖に陥れるという実話に基づいた作品で、見ている側まで緊張と恐怖でカチカチになってしまいそうな作品でした。
本作は、怖がっているのは劇中の登場人物たちで、観客は彼らの慌てふためく行動に少しばかり笑いそうになるような緩み具合…
思わず「その時のニューヨークにいたかったなぁ」(ディスコ全盛期で、一方ではイギリスから入ってきたパンクも盛り上がっていたから)なんて軽はずみなことを考えてました。
ジョン・レグイザモが、愛すべき「バカ男」を演じ切っていたし、エイドリアン・ブロディは自然と共感してしまう魅力があります…母性本能がくすぐられる。



監督のスパイク・リーは、この事件が起きた頃は10代か20代前半。当時は恐怖で震え上がっていただろうけれど、現在はよき思い出として心に刻まれているのでしょう。
「サムの息子」を恐れるあまり暴走していく人々は笑えるのだけれど、自分たちと毛色の違う人間(リッチー)を何の根拠もなく懲らしめる行動が怖いと感じましたね。心に恐怖感を抱えていたくないために憂さを晴らすような集団で1人を叩く心理です。
警察で公開した犯人の似顔絵があまりにも似ていなかったがために、リッチーがサムの息子だと決めつけられて殴る蹴るの暴行を受けなくてはならなかったのはかわいそうでした。
音楽がよかったぁ
「Don’t leave me this way(1977)」とか「Boogie Nights(1976)」ちょうど事件の頃ヒットした曲が使われています。
「Boogie Nights」を聴くと、マイケル・ジャクソンの「Off the Wall」だなぁってつくづく思います…あ、逆だ!


「サムの息子」について

1976年から1977年にかけて、ニューヨークで若い女性やカップルら13人を44口径の拳銃やショットガンで銃撃(一人は刃物で刺)して6人を殺害し、8人に重軽傷を負わせた。被害者に性的暴行を加えておらず、金品も奪わなかったが「サムの息子(Son of Sam)」 という名でマスコミや警察に支離滅裂な内容の手紙を送りつけ、町を恐怖のどん底に突き落とした。 1977年8月10日、ニューヨーク市に隣接するヨンカーズで逮捕される。その後、殺人とともに2000件の放火を自供、その模様を詳しく記録していた。裁判では、弁護側は精神異常による無罪を主張したが、陪審は有罪を評決し、懲役365年となった(ニューヨーク州に死刑がなかったため)。現在も模範囚として服役している。
wiki デビッド・バーコウィッツより)

作品情報

監督     スパイク・リー
脚本     ヴィクター・コリッチオ 、 マイケル・インペリオリ
製作     ジョン・キリク 、 スパイク・リー
撮影     エレン・クルス
美術     テレーズ・デプレス
音楽     テレンス・ブランチャード
原題     Summer of Sam
製作年     1999年
製作国     アメリカ
配給     ブエナビスタ インターナショナル ジャパン



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