My Cinema Talk World: 『山田孝之の東京都北区赤羽』 − 北区赤羽、地図が忘れた幻の街

2015/09/09

『山田孝之の東京都北区赤羽』 − 北区赤羽、地図が忘れた幻の街


少しだけ今の仕事から離れ、ひと息ついてみたいという時がある。
ちょっと立ち止まって自分というものを俯瞰してみたいこともある。
誰にでも“スランプ”に陥り苦しむ時期は、あるだろう。

俳優 山田孝之、窮地に追い込まれるの巻

15歳から仕事ひとすじで突っ走ってきた、俳優 山田孝之(31歳)にとうとうスランプ

という苦難がやってきたのである。


ストーリー

時代劇撮影中に、山田クンが突然、演じられなくなってしまう。
どうやら役に入りこみすぎて、自分と役との境界線がわからなくなってしまったようだ。
山下敦弘氏が監督する映画は頓挫してしまうことに。
ある日、山下監督に山田クンから漫画『ウヒョ!東京都北区赤羽』が送られてくる。
「自分は役者として、振り幅は大きかったが軸がなかった。人間としての軸をつくりたい」
と山下監督に相談する山田クン。
「赤羽に住んで人間としての軸をつくりたい」とマネージャーの反対を押し切り赤羽に向かう。
2014年 夏。赤羽での生活が始まる。
山田クンに従い、カメラを回し続ける監督だったが。







2015年1月10日〜3月28日 毎週土曜日0:52 - 1:23(金曜日深夜)に、テレビ東京系で放送されていました。
筆者の地元は、テレ東の番組は哀しいかなほとんど放映されませんので、つい最近、本作を知った次第です。
山田クンのFacebookを購読しておりますので、なにやらやってることは感づいてはいましたが...

山田孝之と山下監督のやりとりの妙

『ウヒョ!東京都北区赤羽』に洗脳でもされたかと思えるほどの、山田孝之の行動と

それに唖然としながらも、カメラを回さざるを得ない山下監督のリアクションが絶妙

なのです。


赤羽での暮らしでは、漫画家 清野とおる氏(『ウヒョ!東京都北区赤羽』を書いた漫画家)が山田クンを漫画の聖地や、登場人物に会わせる案内人役をつとめております。
清野氏は一環して「マスクをはずさない」という独特のスタイルで、怪しげなひとにしかみえない。
Tシャツ姿の山田クンとタキシードに着替え、写真館で記念撮影をするも、その時もマスクは外さず。
なんともシュールなさまに、監督がひと言ダメだしすれば、山田クンにたしなめられシュンとなったり。(あの目ヂカラで見られたら、誰でも動きが止まりますよ)
こういう場面がちょくちょく出てきます。
その度、監督のリアクションと山田のどこかはずれてる行動と真剣なのか演技なのか不明な表情のギャップに爆笑しっぱなしでした。
でも、見ている自分も「相当スランプがヤバいのかな...」 って真面目に心配になっていました。

キャラ全開の赤羽の人々

清野氏に紹介されて、漫画に登場する人々に会うことになる山田クン。

赤羽に住む人たちと毎回何かやらかして...無邪気になったり、凹んだり。


主だった登場人物(もっといっぱい人が出てきます、ここでは筆者セレクション)
居酒屋 ちからのマスター夫妻
強面でその筋のヒトにしか見えないジョージさん
ナイトレストラン マカロニのマスター
タイ料理居酒屋「ワニダ」のママのワニダさん
路上ミュージシャンの斉藤さん
鷹匠の大和田さん

特にジョージさんと、ワニダさんは強烈!

ジョージさんは、山田クンが少しテンション上がって回復して来たかなっていう時に、「その筋のひと」張りの口調でダメだしをかまします。
山田クンは、2度ほど涙目になっていました。
私個人としては、ジョージさんの言ってることが真っ当だとわかっていても、あの怖さに萎縮してしまいますね。
確かに彼を俳優じゃなく、30代のひとりの若者として怒鳴ってましたが…愛犬に接するときは赤ちゃん言葉になるギャップがおもしろいところです。

ワニダさんは、昔活躍していたジャズボーカリストのマリーンにちょっと似てるところがある美人さんです。
自分のことを「おれ」とか連呼してましたが、美人さんでさばさばしているから許せちゃいますね。山田クンのイケメンぶりにやられたのか、登場するごとに「オンナ」に戻っていました。

鷹匠の大和田さん、「鷹になって、操られたい」と真剣な面持ちでいう山田に
「彼女が欲しいんで、ナンパしてきて」という指令をだす場面、なんともシュールでしたわ。

友情出演!? すごいメンツが勢揃い

赤羽の人々の他にも、山田孝之にまつわる豪華なメンツが登場するのも嬉しい


綾野剛
大根仁
やべきょうすけ
吉井和哉
そして実姉二人(歌手のSAYUKI、女優の椿かおり)

とくに綾野剛さんとやべきょうすけさんの回がいい、堪能させていただきました。
俳優って、ちゃらちゃらしてその辺で「オンナ引っかけてるんじゃないかな」という印象を払拭しましたね。
実は、一般の人たちより、かなりまともなのかもしれないな…と。
やべきょうすけさんの話が、深いし沁みる!!
人間として役者として根っこがしっかりしているなと、もう惚れてしまいました。
映画なりTVドラマなり、ひとつの作品を共同作業で作り上げて行く仕事だから結束が堅いし、そこから生まれる仲間意識なんでしょうね。
一般市民として、なんだかうらやましいですよね。
大根さんが、意外にキツいっ!見た目に反して、かなり生真面目というか、とにかく厳しいっ!!

「本当の山田孝之に近い役は?」
という質問に姉たちが
「『世界の中心で愛をさけぶ』と『白夜行』ですかね…」
と発言してましたよ。
聞いた瞬間「おお、おっしゃ~!」って叫びました。
私も、心の片隅で勝手にそれは思っておりまして、31歳になった彼を見ても頭の中では、朔ちゃんのままなんですよ。

自転車に乗る姿、写真館で記念撮影するところは
「せかちゅう」の朔ちゃんを彷彿とさせます。
「あの頃、少年だった山田孝之。もう31だよ」
なぁんて感慨深くなりました。
一生懸命自転車を漕ぐ姿は、変わってないなって感じる…完全に熱烈なファン目線になってました。

スチャダラパーのゆるーい曲に乗って、川べりを歩くオープニングタイトルもカッコいいです…じみにTシャツを変えてるんだよね。



謎とひと夏の余韻をのこす『山田孝之の東京都北区赤羽』

本当に2014年の夏に撮ったものなのか

登場人物のセリフは?脚本が予め用意されていたのか

山田孝之、山下監督その他俳優陣は演技なのか、リアルなのか


正直いって、曖昧で未だに詳細などはわからない。
見始めた当初は、完全にすべて真実だと受け取っていましたね、私。
限りなく現実に近い、フィクション、
“リアリズム・フィクション”
とでも、名付けましょうか。ん?どこか変??
...ってか、本作の中の山田孝之も十分ヘンだし、いっか!

しかし、繰り返しDVDをみるうちに、じわじわと悟りました。
この作品は、詰まるところ、細かいことや先入観を取り払って、考えずにみちゃいましょう! そういう番組なのです。
そうすれば、無我の境地に達することができる!
山田孝之のファンなら、“孝之ism”を見いだせるはず…です。(大真面目です!)
ヒントは、山田の自宅に並べられたDVDの中にあった『容疑者、ホアキン・フェニックス』 、かもしれないし、そうでないかもしれない。
山田クンが歌う(山田孝之作詞・吉井和哉作曲)エンディング・テーマ「TOKYO NORTH SIDE」に、本作のヒントが隠されているかも…ね。

がんじがらめのマリオネット
俺を笑う俺がいる それを見ている俺もいる
ここは TOKYO NORTH SIDE
偽りよ首を吊れ 孤独よ引きこもれ
探せ TOKYO NORTH SIDE
地図が忘れた幻の街 見つけてみせるRED WING
(『TOKYO NORTH SIDE』歌詞より)

強烈な歌詞に反して、奇をてらわないまっすぐな歌い方がまた、山田孝之らしさを醸し出している。


『山田孝之の東京都北区赤羽』
ユルい中にも、時々じんわりきたりシャキッとさせられたり、ジョージさんにビクついたり。この刺激、癖になりますわ。

突拍子もない思いつきだけれど、山田孝之に舞台でテリー・ギリアムの『Dr.パルナサスの鏡』のトニー役を演じて欲しいな。
すごく似合うと思うんだよね、あの役。

日本映画専門チャンネルで二夜連続で山田孝之特集!必見です!!





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