My Cinema Talk World: お嬢さん − 2016

2017/03/25

お嬢さん − 2016


『お嬢さん』は、パク・チャヌクの14作目(オムニバス、短編も含め)にして、『イノセント・ガーデン Stoker (2013)』から3年ぶりの作品になります。
昨年末からネットの記事を拾っては耳をすませ、待ちに待っていましたが例によって数少ない劇場でしか公開されず。
またもや、DVD(北米版)を取り寄せるという強行(!)手段に踏み切ったわけであります。
韓国語と日本語が半々(韓国語が若干多いかも)で、韓国語の部分は英語字幕で観賞しました。

お嬢さん(原題:아가씨 (アガシ))

監督:パク・チャヌク / 製作年:2016年


ストーリー
日本統治下の朝鮮半島。
ある男がときの政府に取り入り金儲け、それに飽き足らず日本人として生まれ変わること(帰化)を強く望んでいた。
男はその願いを強行するために、日本の華族の令嬢と結婚し、日本姓「上月」を名乗っていた。
やがて上月(チョ・ジヌン)の妻は亡くなり、その姪である秀子(キム・ミニ)が遺産を相続することになった。
遺産を横取りしようと現れたのが、“藤原伯爵”を名乗る朝鮮人のペテン師(ハ・ジョンウ)だった。
その計画とは、伯爵が秀子に絵画を教える名目で上月の屋敷に潜り込む――
前もってペテン師が出入りする詐欺集団の巣窟に生まれ育った女の子 スッキ(キム・テリ)を秀子付きの女中として雇わせておいた。
スッキは珠子という日本名をもらい秀子お嬢さまの身の回りの世話をしながら、藤原伯爵に心がなびくように仕向けていく役割だった。
藤原伯爵の計画では、上月の留守中にうまく秀子を連れ出して駆け落ち、結婚した後精神病院に閉じ込め置き去りにして逃げるというものだった。
企みが成功したあかつきには、藤原が儲けた分け前とお嬢さんの金品を持って鄙びた故郷から逃げ出そうとするスッキだった...

キャスト
    キム・ミニ:秀子お嬢様
    キム・テリ:スッキ、珠子
    ハ・ジョンウ:藤原伯爵(詐欺師)
    チョ・ジヌン:上月
    キム・ヘスク:佐々木夫人
    ムン・ソリ:秀子の叔母

スタッフ
監督:     パク・チャヌク
脚本:
パク・チャヌク、チャン・ソギョン
原作:     サラ・ウォーターズ『荊の城』
製作:     パク・チャヌク、シド・リム
製作総指揮:     マイキー・リー
音楽:     チョ・ヨンウク
撮影:     チョン・チョンフン
編集:     キム・ジェボ、キム・サンボム
製作会社:     モホ映画、ヨン映画
配給:     CJ E&M フィルム・ディビジョン
公開:     2016年5月14日(カンヌ)
2016年6月1日(韓国)
上映時間     145分
製作国:     韓国
言語:     朝鮮語、日本語
原題:    아가씨 (アガシ)
英題 :   The Handmaiden



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注意)ラストのネタバレはしていませんが、途中のどんでん返しには触れています。
これから見る予定の方はご注意下さい!


二転三転。過呼吸覚悟の3部構成

145分。
長いと感じるか、あっという間か。
その見方で変わってくると思います。
本作は3部構成です。
第1部は、お嬢さん付きのメイドになるスッキの素性、藤原の計画に乗っかり上月家に入りこんだ後の予想だにしないストーリーがスッキの語りで展開されていきます。
第2部に入るとお嬢さんの生い立ちから現在までがお嬢さん(秀子)の視点から語られていきます。
「朝鮮は醜いが、日本は美しい」
偏狭な思考と変態資質の持ち主、上月。
日本の上辺だけを愛でる贅を尽くした悪趣味の数々。
その犠牲となってきたのが、秀子と彼女の叔母でした。
極めつけにおもしろいのが、第1部と第2部はスッキから秀子の視点に変わる、同時に騙す側と騙される側の立ち位置のずれが浮き彫りになってきます。
この構成が、とにかく巧みで描き方が痛快すぎです、笑ってしまう!
同時に異常な叔父のもとで虐げられて育った、秀子の悲惨な生い立ちをめぐる哀しみも語られているので複雑なのです。
第3部は、一気にラストへ。
残酷でえげつなく、そしてスカッとする最後です。

エンドロールでようやくまともに息ができたという気がしました(笑)

韓国の俳優さんにしかできない日本語。その魅力

監督のインタビュー記事(だったか?!)で、俳優達には半年ほど日本語を練習してもらったと語られていた気がします。
その日本語が、耳馴染みが悪いとか聞き取りにくいと感じるかもしれません。
自分の場合、ある意味愉しめたといってもいい程でした。
風情があるというか使われている日本語が古典的な言い回しが多くみられる、“ギャップの妙”(!)といえるのかもしれませんね。
伯爵の下手な演技を際立たせるために、大仰な日本語のセリフにしたとも考えられます。
兎も角、あの奇怪な日本語はユーモアのエッセンスを加えたかったのだと私は受け取っています。

パク・チャヌク監督は、こんなことも言っています。

「どんな言葉を話すか」というより
「どのように話すか」が重要な問題だ。
話す「スタイル」でもって。

セリフは「ダイアローグ」ではなく「サウンド」の一種だとも述べています。
『パク・チャヌクのモンタージュ』より(キネマ旬報社)




本作の日本語問題は、よく映画の「つっこみどころ満載」をネタにする方にとってはあまりにも「つっこみどころ」がありすぎて困るくらいではないでしょうか。
私は、お寺で結婚式をしていたのがちょっと「アレ?」ってなりましたね...
(後から調べてみると“仏前式”ってあるんですね。めずらしいようですが。)

劇中登場する蠱惑(こわく)的すぎるセリフを紹介

  お嬢さんのエロい体の部分を目のまえにしながらのスッキのせりふ

ひ、ひ…秀でたお美しさでごじゃいます!

  第1部のラスト、秀子お嬢さまが精神病院に入れられるはずだったがスッキが?!
   ...立場が入れ替わった時の、お嬢さまのセリフ。

おらの哀れなお嬢さまが狂ってしまっただ。

上月家でディナー。美しいドレスで現れたお嬢さんを前にしての藤原伯爵

蠱惑的に...ひ、ひ...秀でたお美しさでごじゃいます!

◆  幼い頃から春画を教科書に、美しい日本語の発音を叔母に習う秀子

「目、鼻、口…乳首、へそ、○×▲、※◇●」(口に出せない日本語)

カット、ショットからこんな作品が浮かんできました。

ヒッチコックのレベッカ(1940)(佐々木夫人のショットは、まさにレベッカのダンヴァース夫人でした。キャラの得体の知れないところも...)

ジェームズ・アイヴォリーのハワーズ・エンド(1992)(これまた大好きな作品💜 自由を求めて2人、手を取り合って早朝の草原を走るシーン)

O嬢の物語・第二章(1984)(作品全体から漂う背徳の香り)


ダンヴァース夫人の得体の知れない恐さは、登場の仕方と照明を使った撮影手法による。
映画「レベッカ」より


スクリーンからチャヌクイズム(Chan-wook・ism)が溢れる作品でした。
敢てジャンルを作るなら、
ジャパネスク・ゴシック・エロ・ノワール
とでも名付けましょうか!
相変わらず天晴な出来でした!!


【参考リンク】
映画『お嬢さん』パク・チャヌク監督にインタビュー:「抑圧されている状況の中で戦う女性こそが魅力的だと思っている」

『お嬢さん』:パク・チャヌク監督インタビュー 

全世界が絶賛。パク・チャヌク監督が語る『お嬢さん』

官能を刺激する怒涛のミステリー『お嬢さん』:制作の舞台裏をパク・チャヌク監督が語る


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*パク・チャヌク
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